金澤詩人 NO12
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7 波打つような美しい日々だったのに 手のひらから 大きな水晶が落ちる もう取り戻せないけれど 新しい日々がある この分かれ道 わたしは確かにこの道を選ぶのだ 目を上げて わたしは確かにこの道を進むのだ 白い服 白い服は 着るのに勇気がいるね 汚すと目立つし 自分が映える たんすの中に くすんだ服がたくさん 去年のわたしは なにを考えて なにを思っていたのだろう 去年のことなのに 思い出せないでいる さんざん悩んで 食べ過ぎて取り返しがつかなくなって おろおろしてあたふたして そうやって抱えているときに くすんだ色の服を着たくなる 白い服は 着るのに勇気がいるね 逃げ場がないし 自分が見える 身体 痛めつける 痛めつける 自分の身体を 痛めつける 自分の身体なのに 痛めつける 自分の身体は 自分の自由だから 泣いてもだめ 痛めつける 気が済むまで 痛めつける この身体は
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