金澤詩人 NO12
67/70

67 あっ おじさんだ おじさんがかえってきた そこにいたわたしの祖母もきこえたという いとこはなんどもかたってくれた もういちど ちちはみなみしなかいで のっていた輸送船がごうちんし うみのもくずとなってきえたといわれていたが ほんこんのおきにあるストンカッター島というイギリスりょうのしまに いたいがまいそうされていて 骨がかえってくることになった かえってきた日 しらふじはちっていた 伯母は アナタハカナラズカエッテクルトイッテイタカラ ホントウニカエッテキタネ と声をふるわせてこつつぼをなでた へたなうえきやさん だいじなだいじなしらふじなのだから 研究してふさふさの花をさかせてくれよ 峠 この峠をこえるのがすきだ 葉をおとした木々がくろくたちはだかり こわい それがいい ゆきがくるまをはばみ スリップする それがいい この峠をこえて 明治時代に 曾祖母が 峠をおりたところのむらにひそんだ はらんだ子をうむために 寺にしごとにきていたわかいおとことなかよくなり ひとりむすめの曾祖母は なかをひきさかれ やみからやみへ とうひこうさせられた うんだ子はおとこのこでそこのようしとなり 曾祖母は寺にひきもどされ 婿をとって 祖母をうんだ 祖母もまた

元のページ  ../index.html#67

このブックを見る