金澤詩人 NO12
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58 儚い砂みたい 信頼とは砂みたいなもの しっかりと手で握らないと 微風でも消え去るものよ 私が信頼をなくすのは相手や 神様のせいではなく私だよ 信じるという行為で握らないから 鉛色の空とくすむ海を歩いた はらじゅくことば 愛上男をあいうえおと 原宿の若者はいうらしい 意味は恋愛の上手い男 就寝前の病床で私は知る バナナマンのテレビにて へえーと使わぬ知識を嗜む 頭痛の戦い いつか病床で息を引き取る日が 訪れるなら美しいピアノと歌で あの世へいきたいと希求するよ 頭が休暇取らせろと 痛みで抗議する ずんずんと足跡鳴らし 私は働けよといい 我慢で迎え撃つよ ふんふんと聞かぬように 天気がくもりで 湿っているせいか 私の中で季節外れの春闘が起きる カッターナイフ 腕に切りつけると血が出る ような生きている痛みが 私はそういいながら 紙の余白を鋭く切る 少し汚れた机にいる私 本心 絶望を語れるのは希望だ どうにかなるはずだよと この歪む世界に期待する 本当な私がいる 暗いくすむ病室で おやつにカフェオレ 飲み冷静に思う オニオンスープ ああ鼻水垂れて寒気が 君のやさしさと愛が 隠し味にいれてある 啜り、バファリン飲み 眠ろうか
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