金澤詩人 NO12
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57 末永卓哉 欠陥まみれなこころ 待てない少しの間も 続かない少しの集中 筋ジストロフィーよりも 作家としての大きな私の 欠陥と感じてひたすらに 錆びた右手で詩を書くよ けしごむのおもい きょうのてんきは あめふりだ だからなのか わからないが どうしたのきみは なきそうなかお ぼくにそのりゆう おしえてくれよ きみはにんげん とおいそんざい ぼくのからだを ぎせいにして かなしみのあおを まっしろにして きょうのくうかん くもりそら きがめいると いやになるの なににふあんなど かんじているの そのいたみとかを わけあわせてよ ぼくはけしごむ かたれはしない きみのなやみを もじにかえて おもいきりけして すっきりしなよ ぼくはそうはげますだけ いつもそばに ふでばこから かくれている 現実的になる昨夜 捨てて、捨てて、棄ててしまおう キラキラしている過去の思い出も 僕の追いかけた詩人の夢と希望も 嘆き、嘆き、嘆き疲れる夜になり ピロピロしているモニター画面も どんより暗い病床で放棄の決意を 錆付いた筋肉と脆いガラスの心臓 卑屈に曲る骨と荒むハヘンの思考 憂いと呪いを感じ僕は誓う密かに 苛立ちの昼 壊したら 楽になるかと 花瓶を落とした クリーム色のリビングで 僕は虚しさから 散歩に向かう

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